2024.07.04
教育学部 水野ゼミでシャンソン歌手の今里哲氏による特別講義
教育学部3・4年生の水野ゼミでは7月2日、シャンソン歌手の今里哲氏による歌とお話の特別講義を行いました。
今里氏はゲイ(男性同性愛者)で在日韓国人であることを公表しています。授業は子ども時代に受けた差別や偏見の話題で始まり、青年期に男性に恋し、自分がゲイであることをはっきり認識したことなどにも触れられました。「自分の背負う宿命や多くの挫折があったからこそ、愛や人生を唄うシャンソン歌手としての今の自分がある」と、これまでの全ての経験を糧にする今里氏の生き方からは、精神性の強さが伝わってきます。
「人はいつも選択しながら生きている。お昼ご飯に何を食べようかという小さなものから人生の岐路での大きなものまで、折々に自分で選択してきた。人生は選択の積み重ね」と話す今里氏の言葉は学生の柔らかい感性に深く入り込んでいきました。
「差別をする人は選択を間違えている。どんな人がいてもいいと改めて感じた。自分も哲さんのように情熱的に生き、たくさんの選択をしていろいろなことに挑戦したい」「自分は自分でいいんだと思えた。他人に影響されることなく、自分がやりたいことを全力で取り組んでいきたい。哲さんのようにいろいろなことを経験し、感じたことを表現出来る人間になりたい」。まっすぐな視線を向けて聴いていた学生たちの姿が印象的でした。
特にカンツォーネの「Dio come ti amo」からは恋人を想う情愛の深さに、「遥かなる銀河(Milisse Mou)」では軽快に雰囲気を切り替える今里氏の妙技に皆惹き込まれていました。
「哲さんの歌を聴いた時、声量と迫力に圧倒され感動し涙が出そうだった」。歌われた写真が一枚もないのは、水野がピアノ伴奏をしていたため。終了後に、自身も金管楽器を演奏する4年生たちから、「2人の息がぴったり合っていた」と感想をもらい、生演奏の臨場感や演者同士のやり取りをリアルタイムに感じてくれたことも嬉しいことでした。
7月4日から、今里氏は東北の被災地の一つ、宮城県登米市へチャリティコンサートに出かけます。ますますのご活躍をお祈りします(教育学部教授 水野伸子)