愛知東邦大学

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教員紹介(人間健康学部)

予防医学の知見で健康増進を。

学び2024.03.04

人間健康学部 人間健康学科

尚 爾華(しょう じか)

人間健康学部教授の尚 爾華(しょう・じか)先生。
ご自身の専門分野である「予防医学」の研究や「健康」についてお話しくださいました。
ぜひご覧ください。

専門分野について

―尚先生の専門分野をお聞かせください。
私の専門分野は一言で言いますと『予防医学』です。

―予防医学とは、どのような分野なのでしょうか?
健康長寿社会の実現のために、病気を予防し、人々の健康を促進する研究分野が予防医学です。予防医学が扱う領域は健康全般で、「身体」、「心」、「社会福祉」と多岐にわたります。

―具体的にはどのような研究を行っているのですか?
私の一番最初のテーマは「身体」の健康である「食」と「運動」でした。今は継続してい、おおよそ30年になります。「食」に関しては、例えば大学生の朝食摂取状況、高齢者の食習慣と現在歯数との関連および低栄養問題、児童生徒の食生活と口腔衛生の日中国際比較などに取り組みました。「運動」に関しては、「札幌市国保ヘルスアップモデル事業」という行政と大学が共同で実施した高齢者の運動習慣確立プログラムに参画し、高齢者の健康と生活の質(QOL)の向上には、自宅や周辺で楽しく継続できる運動が効果的だということが分かりました。

―なるほど。食」と「運動」の他にはどんな研究されていますか?
昨年からは「心」の健康である幸福度の研究にも取り組んでいます。調査活動の現場で、高齢になっても外見に気を配り、美容やファッションを楽しむことが、幸福度(主観的Well-being)の向上に寄与する可能性があることに気づいたことが研究のきっかけです。

―ファッションと幸福度にどのような関係があったのでしょうか?
高齢者700人を対象にアンケート調査した結果では、美容・ファッション、身だしなみに対して前向きな姿勢を持つ高齢者のほうが、幸福度(WHO-5 精神的健康状態表)がより高いと分かりました。その研究結果を今年6月に横浜市で開催されたアジア/オセアニア国際老年学会で報告し、9月には国際老年医学誌にも論文発表しました。
また、将来的には、高齢者が誰でももっと気軽に美容・ファッションを楽しめるように、国の政策へ提案できたらと考えています。高齢者が幸福で健康なら国が負担する医療費軽減にもつながりますからね。

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人間健康学部に在籍する先生方

「健康」とは

―予防医学は健康全般を扱う領域だとおっしゃっていましたが、そもそも「健康」であるとはどのような状態なのでしょうか?
健康と聞くと、怪我をしていない、何も病気がないなど、表面的な部分を意識しやすいと思います。ですが、怪我をしていない、何も病気がないといった「身体」的な健康だけでなく、精神的ストレスを抱えていないといった「心」の健康、そしてでは、誰もが平等に、保健医療や公衆衛生のサポートを受けられる社会を整える「社会福祉」、すべてが満たされる必要があります。

―なるほど。どれか一つでも欠けてしまうと健康とは言えないのですね。
そうです。健康は三本柱、三脚だと考えてください。カメラなどに使う三脚をイメージして下さい。3本の足がしっかりと地面に接し、支えあっているからカメラが安定していますよね。でも1本折れてしまったとするとどうでしょうか。安定して固定することができず倒れてしまいますよね。健康もそれと同様に「身体」「心」「社会福祉」どれか一つでも欠けてしまうと崩れてしまいます。人間健康学部ではこの3分野を横断的に学び、健康に対してアプローチしていきます。

―これから健康を考えるときは、3つを意識しようと思います。ちなみに日本は健康への取り組みとして何か行っているのですか?
実は「21世紀における国民健康づくり運動」というものを行っており、2024年度から第三次健康日本21が実施されます。健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目的に、全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現を目指すものです。

―お恥ずかしながら初めて知りました。
皆さんにももっと知っていただきたいです。こちらの運動は個人的な健康づくり、社会環境づくりの二つからアプローチしていきます。個人的な健康づくりとしては、主に生活習慣の改善が掲げられています。なぜなら、世界の死亡や医療負担の要因となる疾患の上位は、1位:高血圧、2位:喫煙、3位:高血糖、4位:運動不足となっており、どれも生活習慣が起因するものだからです。ちなみに日本での危険因子は運動不足が3位となっています。

―これを機に健康について考え、自分の生活習慣を見直したいと思います。
生活習慣の改善の3本柱は「栄養・食生活」、「身体活動・運動」、「休養・睡眠」です。世の中で大成している方の多くは、自分自身の健康管理にすごく知識を持っていて行動しています。健康は豊かな人生の土台ですので、皆さんも生活習慣を一度見直して健康づくりに取り組みましょう!


 

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健康日本21

人間健康学部で学ぶ学生へ

―それでは最後に人間健康学部で学ぶ学生へメッセージをお願いします。
人間健康学部で学ぶ3つの分野の知識は、とても身近なものであり、自分の実生活、家族、友人にも必ず役に立つものです。また、身につけた知識は健康関連の産業へ活かすことはもちろんですが、一般企業の総務や人事といった部門で社員の健康管理に携わる際にも活かすことができます。
また、総合的な健康管理の指導やアドバイスができる健康管理士一般指導員の資格取得にも挑戦していただきたいです。こちらの資格試験では、人間健康学部で学ぶ3分野全てから出題されます。4年間で健康に関して学んできた自分の証にもなりますので、積極的にチャレンジしていただきたいです。

―お話しいただき、ありがとうございました!

 


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人間健康学部の教育内容・特色

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