愛知東邦大学

2026.08.20

卒業生に学ぶキャリア~地域創造研・研究会

 愛知東邦大学地域創造研究所は88日、同大学のスチューデント・コモンズで第60回定例研究会「地域×挑戦×自分らしさ」を開催しました。
 今回の研究会は「キャリア支援研究部会」が展開するシリーズ企画「卒業生に学ぶキャリア」の第2回として行われました。地域連携活動を「やりっぱなし」の体験で終わらせず、次世代のキャリア支援へとつなげるための具体的なアプローチについて、教職員、卒業生、在学生を交えた熱心な議論が交わされました。

■ 研究報告・キャリアトーク:データと対話で「成長の兆し」を捉える

 開会にあたり、部会主査である手嶋慎介・経営学部教授から趣旨説明がありました。続いて部会研究員である中野匡隆・人間健康学部准教授が「地域連携を『やりっぱなし』にしない次世代キャリア支援」と題した研究報告を行いました。中野研究員は、地域連携活動の効果を可視化する手段として、汎用的能力を測定する「PROGテスト」の活用を提示。「大学での多様な経験を経て自分を客観視できるようになると、一時的にテストの点数が下がる現象が見られるが、これは自己を正しく認識できた『成長の兆し(証)』として捉えるべきだ」と指摘しました。数値を単なる評価として一喜一憂するのではなく、教員と学生が対話を進め、リフレクション(振り返り)を行うためのツールとして活用する重要性を強調しました。
 続くキャリアトークでは、在学中に学生研究員として研究所叢書の共同執筆にも携わった卒業生の林空生さん(2025年度人間健康学部卒業)がゲストとして登壇しました。林さんは、大学時代に立ち上げた「スポーツ・健康×まちづくり部」(スポまち部)での活動やイベント運営を振り返り、「多様な人々と協力し、雨などの予期せぬトラブルに臨機応変に対応した経験が、現在の職場で非常に活きている」と実感を込めて語りました。また4年間で自分自身の成長を段階的に確認できるように「入学直後と在学中の複数回にわたってPROGテストを受験できる仕組みを大学で作ってほしい」と後輩たちのためのキャリア支援体制の充実を提言しました。

■ ディスカッション:地域活動という成長の場と、伴走支援の課題

 後半のディスカッションでは、教職員や他大学の専門家、在学生を交えた多角的な討議が展開されました。見目喜重・豊橋創造大学経営学部教授は、テストを全学導入する際のリアルな運用課題に言及。「入学直後と在学中の複数回にわたってテストを受験させると回答が不真面目になる学生への対応」や「結果を実際の学生指導に活かす教員側のフィードバック能力のばらつきをどう克服するか」が課題であると提起しました。
 研究員でもある松井慶太・学生・キャリア支援課課長は、キャリア支援における地域連携の価値について言及。「地域活動は、社会のリアルな課題や多世代との協働を肌で感じ、学生自身の『心のスイッチ』を入れることができる極めて優れた『成長の場』である」と評価しました。
 学生コメンテーターの加藤大翔さん(経営学部3年)は、学生側の視点から意見を述べました。加藤さんは「大学から強制されるのではなく、自分自身の意思で選んで一歩を踏み出せる活動の選択肢が用意されていることが、主体的な成長につながる」と語り、自発性を引き出す環境づくりの重要性を訴えました。

■ 総括:経験を「確かな資産」に変えるために

 最後に、地域創造研究所の尚爾華副所長(人間健康学部教授)が全体の議論を総括しました。地域活動での学びや葛藤といった貴重な経験を、学生自身が社会で使える「確かな資産(能力)」へと転換していくために、客観的なデータ測定と個々の学生に寄り添う伴走型支援(対話)をどのように統合して組織として質的保証を行っていくか――という今後のキャリア支援の明確な指針が示され、盛況のうちに閉会しました。(キャリア支援研究部会主査 経営学部教授 手嶋慎介)

3月に発刊された地域創造研究所叢書「大学キャリア支援の実践と可能性」(唯学書房)をはじめ、過去の叢書はこちらをご覧ください。

※林空生さんの学生時代の活動については、公式サイトTOHO INTERVIEWで公開されています。

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