愛知東邦大学

2016.04.01

学生見守る2本の桜

20160401_01 愛知東邦大学の正門脇にある古木の桜が、4月2日の入学式に合わせたように満開になりました。1965(昭和40)年、大学の前身である東邦学園短期大学が開学する際、東邦学園の初代理事長である下出義雄氏の夫人である下出サダさんが植えたものですから、樹齢は半世紀を超えています。

 L棟の建設に伴い、学内にあった他の数本の桜は伐採されてしまいましたが、サダさんの植えた桜は残りました。いったん引き抜かれ、2回の冬を過ごし、2014年12月のL棟完成に伴い、正門脇に植え直されたのです。そして、古木の幹からは次々に新しい芽が生い茂りました。

 榊直樹学長の祖母であるサダさんは東邦保育園の園長も歴任しました。愛知東邦大学には2014年4月に教育学部が開設されましたが、古木の幹から勢いよく伸びた枝に咲き誇る桜の花は、保育士を目指す若い学生たちをやさしく見守りながら、「頑張りなさいよ」と励ましの言葉をかけているのかも知れません。


20160331_02 キャンパス内にはもう1本、学生たちを見守ってくれている桜の木があります。S棟横で、学生たちが憩う庭にちょうど10年前に植えられた桜で、2005年9月11日、32歳の若さで急死した当時の大学職員、三浦寿美さんの遺族が大学に贈ってくれた桜です。

 総務課勤務だった三浦さんは、休日を利用して親しい職員仲間らと山に登ることになっていました。しかし、集合場所だった大学近くの駐車場で、心室細動という心臓のけいれんに見舞われ、帰らぬ人となってしまったのです。男子バスケットボール部監督や男子サッカー部の世話など、三浦さんはいつも学生たちと一緒でした。

 「桜はね、寒い冬の間、幹にいっぱいエネルギーを蓄えて、春には人を和ませ、人に幸福(しあわせ)な気分を残して散っていくの。いい花を咲かすには、今、頑張る時なの。人は必ず、花を咲かす時が来るのよ」。三浦さんは大好きだった桜の花に例え、いつも学生たちを励ましていました。

 三浦さんの母親房代さんが、大学に桜の苗木を寄贈するにあたり綴った手紙は2006年4月11日「中日新聞」の「人は生きた」というコラム欄で紹介されました。そのコピーは、S棟横で、今年も咲き誇った桜の木の下に、ビニールカバーに収められて紹介されています。

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