愛知東邦大学

2025.07.02

教育学部で津波裁判の映画を上映

 教育学部では71日、映画「『生きる』大川小学校津波裁判を闘った人たち」をB201教室で上映し、その後にトークイベントを開催しました。地域にも呼びかけ、約20人の住民が参加されました。
 宮城県石巻市にあった大川小学校は、2011年に起きた東日本大震災の津波で、唯一といっていいほど多数の犠牲(全校児童の7割に相当する74人の児童と10人の教職員が亡くなった)を出した学校です。この惨事を引き起こした事情と理由を知りたいという切なる願いに対し、行政の対応には嘘や隠ぺいがあると感じた親たちは、真実を求めて石巻市と宮城県を相手に国家賠償請求の裁判を起こしました。この映画は「先生の言うことを聞いていたのに」亡くなった子どもたちの想いを、代弁した親たちの長きにわたる裁判の記録です。
 教員や保育者を目指す学生が多い教育学部。映画の存在を知り、子どもたちを守る立場になる学生に、この映画を観て「覚悟」を持ってほしいと考えていた水野伸子教授とゼミ生が上映の準備をしました。また学部長の堀建治教授は「学校は子どもたちが安全に過ごし、家に帰すところ」と常々言っており、より多くの学生にも観てもらうことが決まりました。また、この意図に共感したこの映画の寺田和弘監督の勧めで、遺族の一人、只野英昭さんと訴訟代理人の齋藤雅弘弁護士が、上映後にZOOMで学生たちとトークイベントに参加してくれることになりました。
 上映会は運営や司会などを水野ゼミの学生が担当し、住民と学生ら約80人が鑑賞。「なぜ、わが子が死なねばならなかったのか」という親たちの強い思いが描かれ、上映中はすすり泣きも漏れていました。2時間超の映画を観た後、教員を目指している岩室咲良さん(教育学部3年)は「子どもの命を預かる責任の重さをしっかり感じました」と話しました。坂本優斗さん(教育学部3年)も「ちゃんと子どもを守るという覚悟ができました」と言い切りました。
 トークイベントでは、只野さんが学校から歩いても1分ちょっとの裏山まで移動しながらカメラで説明。「自分だったらどうしただろうか、と考えてみてください」と学生たちに伝えました。最後に齋藤弁護士が「みなさんも気負わず是非1度来てください」と呼び掛けました。それに応え、永井千子さん(教育学部3年)は「私も大川小に行って、あの時どうしたか、どう思うかを感じてみたい」と決意したようでした。
 水野教授は「学生たちがこれから教員や保育者になった時、大地震も予想されている時なので、自分だったらどうするかを考えるのに大切な経験となったと思います」と話していました。

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