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TOHO INTERVIEW

【第63回】東邦学園「スポーツ・文化振興局」スタート 野球、サッカーなどで東邦ブランドの推進力に

東邦学園野球部総監督 東邦学園サッカー部総監督 スポーツ・文化振興局理事

森田泰弘氏、石渡靖之教授、佐々木泰裕氏

 

森田泰弘(もりたやすひろ)

 東邦高校、駒沢大学卒。1983年4月から東邦高校職員として硬式野球部コーチに就任。2004年7月から2020年3月まで監督。選手、20年間のコーチ時代、16年間の監督時代を合わせると、春夏で甲子園出場は24回に及び、選抜ではコーチとして1回、監督として1回、東邦を全国制覇に導きました。1959年4月4日生まれ。

石渡靖之(いしわたやすゆき)

 千葉県立千葉東高校、青山学院大学経営学部を卒業して千葉県公立高校教員に。2018年4月から2020年3月まで船橋市立船橋高校校長。同4月から愛知東邦大学人間健康学部教授。2003年度~2010年度の市船サッカー部監督時代には高円宮杯全日本ユース選手権優勝、全国高校総体優勝3回、高校選手権準優勝1回などの成績を残し、名古屋グランパスでも活躍した和泉竜司ら多くのJリーガーを育てました。 1959年6月1日生まれ。

佐々木泰裕(ささきやすひろ)

 愛知県立豊橋東高校、名古屋大学理学部数学科を卒業して東邦高校教諭。2015年4月から2019年3月まで校長。2019年4月から理事として新たな百年事務局、スポーツ・文化振興局を担当。1959年1月13日生まれ。

 

 東邦学園に2020年度から「スポーツ・文化振興局」が設けられました。学園は3年後に創設100周年を迎えますが、全国に「東邦」の名前を知らしめてきたのが野球、サッカー、マーチングバンドの活躍でした。発足したスポーツ・文化振興局について、担当である佐々木泰裕理事、学園野球部総監督の森田泰弘氏、学園サッカー部総監督の石渡靖之・人間健康学部教授の3氏に語っていただきました。司会は榊直樹理事長です。

――「スポーツ・文化振興局」を発足させて、森田さん、石渡先生に総監督の立場で、大学、高校の野球、サッカーを高い見地から指導していただきます。まず、それぞれの自己紹介をお願いします。

 森田 出身の知多市知多中学校の野球部時代、地元発の応援バスで甲子園に駆け付けて、東邦高校を応援したのが東邦との縁の始まりでした。知多中の野球部先輩である戸田幸男さんがサード、巨人V9戦士でもある山倉和博さんがキャッチャーでした。1973年春の選抜大会で、2回戦で東邦が4-3で報徳に勝った試合です。感動しました。大会後、監督だった阪口慶三先生が中学にお見えになった時は、すでに東邦に行こうと決めていました。

 東邦高校に入学したのは1975年。入学した年の6月、部内で「暴力事件」があったとして1年間、対外試合禁止の処分を受けました。2年生の先輩が我々1年生に行った指導で、暴力行為があったかのように報道されたからです。本当に途方にくれましたが、ひたすら悔しさを練習にぶつけました。そのかいもあったのか、3年生の夏、愛称「バンビ」の1年生投手、坂本佳一君を擁して甲子園準優勝を果たしました。坂本は体が細く、よくあの体で、炎天下で投げました。東邦の活躍に全国が沸いた夏でした。

 石渡 東邦高校さんとは、僕が市立船橋高校でサッカー部の部長から監督になった年、2003年の全国サッカー選手権大会に、私のチームも出場しました 。それまでは部長で、チームマネージメント、1年生の指導とか、次のチームの中心選手を育てるような立場でした。前の監督が、今、J2リーグ松本山雅FCの布啓一郎監督。布監督は高校の1年後輩です。

 2003年に布さんが、教員を辞めて日本サッカー協会入りしたことで、私が監督を引き受けました。この年のインターハイ(長崎)で初めて全国大会の指揮をとり、準決勝までいきました。準決勝の相手は地元長崎の国見高校。もう一方の準決勝が帝京高校と東邦高校。東邦は横井由弦先生が監督。うちは国見に負け、東邦も帝京に負けて、ともに決勝にはいけなかった。そういった、因縁のある学園に来させていただきました。

 もともと愛知はサッカーどころ。千葉県よりも強豪県という面があって、よく遠征に来させていただきました。おかげで千葉県も屈指の強豪県となりました。教え子の中には愛知県で教員をしている者、名古屋グランパスで活躍した選手もいます。多くの教え子がプロや指導者になっていて、そこが一番指導者冥利に尽きるのかなと特に感じています。

 東邦学園のブランディングという点では、野球がかなり先行していますが、サッカーも何とか少しでも野球に追いつかなくてはと思っています。

――佐々木理事は東邦高校時代、数学の先生であり校長でした。一方でソフトテニス部も指導されました。

 佐々木 私が教員を目指したのは高校時代のテニス部での体験が大きい。細かいルールを先輩から教わり、先生は補助的に存在している感じでした。でも2人いた顧問の先生はともに数学の先生で、自分も数学は好きでした。先輩に厳しく指導されながら、高校生活を送り、インターハイにも出て、何かをやっていく自信がつきました。

 名古屋大学でも数学の勉強をしつつ高校教員を目指しました。求人があった東邦高校は 野球も強く、ファンでもありましたので、就職できるのならと受験し、お世話になることになりました。東邦に来てからも顧問はテニス部一本です。同級生や先輩との絆をしっかり作り上げられるクラブを作りたい、クラブでやってきた絆が生きてくる指導をしたい、そういう教育をしたいと思ってずっとやってきました。

 教頭や校長を務めた時、野球やサッカーの応援にも行ってみたら、自分のクラブとは違う姿が見えてきました。野球やサッカーの連帯感のすごさはテニスとは違うものがあるなと思いました。校長から現在の理事に就いて、大学の野球部、女子サッカー部の試合も見せてもらっています。野球部の選手を見ていると、本当にきびきびした動きで、こういう選手たちが将来、社会へ立派に巣立っていかれるよう、一緒にやれたらいいなと思いました。男子サッカー部とはまだ触れ合いがありませんが、この「スポーツ・文化振興局」を通して応援していきたいと思います。

――森田総監督は20年間のコーチ時代を経て16年間監督として指揮をとられました。どんなチームにしたい、どんな選手を育てたいと思っていましたか。

 森田 世の中の方々はその選手の技量を見て、例えば、藤嶋(2017年卒・中日)の気迫あふれるピッチングが見たいとか、石川(2020年卒・中日)の力強いバッティングが見たいといって球場に足を運んでくれる。しかし、大事なのは、そこでプレーする選手たちの、ひた向きに、全力疾走で攻守交代をする、真剣み、気迫あふれるプレーをすることだと思います。人の気持ちを引き付ける、そういう選手を育てる人づくりをしたいと思ってきました。

――石渡先生は高校ではどんな方針で指導していましたか。

 石渡 サッカーでは、試合前の戦術とか、体力、メンタルとかをしっかり準備して試合に臨むことが非常に大切です。一つひとつのプレーをベンチから指示することは出来ないので、個人の判断、そして普段の積み重ねが出てくる。隠しようのないところがサッカーの奥深いところだと思います。「サッカーというスポーツは子どもを大人にする」とも言われます。大人への階段を上っていく中で、選手、人間としての成長につなげていけるよう指導してきました。

――東邦高校のあらゆる課外活動を他の学校のようなレベルに変えてしまったら、東邦高校ではなくなるのではないかと思うのですが、いかがですか。

 佐々木 高校教育は勉強だけではいけないなと思います。スポーツや文化とかのクラブ活動は大事な要素だなと思っています。野球、サッカー、マーチング、バトン、ダンスとかいろんな違う団体競技を見て、自主活動の苦労は教室の中では味わえない教育だなと思いました。そこでしか味わえないものだろうし、東邦高校はそれを大事にする学校になってほしい、その結果として外に名前が出せる学校になってほしいと思いました。

――学園が新たに発足させた「スポーツ・文化振興局」の活動に対して、どんなプランをお持ちですか。

 佐々木 大学のスポーツ部、マーチングバンドなど文化部を含めたソースをうまく活用したいと思います。高校生は日常的にはあまり動けないので、やはり、学生が自治体や企業などとも連携しながら、地域の人たちとそこの活性化につながるような活動ができればいいですね。

 大学には人間健康学部にスポーツ指導者コースもあります。地域のクラブや中学校など、では指導者不足で大変苦労している。そういうところに、野球やサッカーだけでなく、高校時代にほかのスポーツをやっていたが今はやっていない学生も含めて、スポーツで地域に貢献できる指導者を派遣できたらとも思います。

 先行して活動している「東邦学園スポーツクラブ」(TOHO・CSC)ではすでに小中学生らを対象にした体操教室と女子サッカークラブを開設していますが、これに加えて、これからも地域の子どもたちをターゲットにしながら、東邦学園のブランド力アップに貢献できればと期待しています。

 森田 教え子が監督をしている少年野球チームがたくさんあります。そういったチームに声をかけ、「東邦ドリームカップ」という小学生野球大会をやれないかと思っています。「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」はなくなりましたが、名古屋市内16区から32チームに参加を呼びかけ、高校野球にならって春、夏の大会と12月の王座決定戦をやるとか。12月ならドラゴンズから東邦高校卒業生の藤嶋、石川選手たちも来てくれると思います。

 東邦高校のある名東区の中学生や高校野球部グラウンドのある東郷町の中学生向けの野球大会、両地区の交流戦も面白い。指導者向けのスポーツ障害予防の講習会や、成長期の子を持つ親向けの栄養学講座も考えられます。東邦ってこんなこともやっているんだと、皆さんにアピールしていきたい。すぐには出来なくても長いスパンで考えていきたいです。

 石渡 東邦学園は地元に結びつきを持っているわけですから、そこでどういうことがタイムリーに出来るかが大事だと思います。私はまだこの地域に関しては理解が足りないと思いますが、人間健康学部の授業に立たせてもらっていますので、学生たちに呼びかけて、少年サッカー審判などスポーツボランティアに関して進めていけないかと思っています。少年サッカーの場合、お父さんとかが審判資格を持ってやれればいいのですが、自分のチームの指導もあるし、大会運営等にも支障が出てくる場合もありまし、規約で審判の派遣がなかなか難しい面もあります。

 そこで、浮かんだのが学生たちです。スポーツ指導者を目指していて、体験を積んで、もっと自分を成長させたいという学生たちに呼びかけてボランティアのサークルを作ってサッカーの審判資格を取らせたい。実際、サッカー部には資格を取っている学生がいます。今はサッカーをやっていない学生でも、男女問わず、そういったことをやることで、地域のスポーツ振興に貢献できるのではないかと思います。