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TOHO INTERVIEW

【第9回】教育実習報告会で実感した学生たちの成長。教員に求められるのは夢を超えた使命感

人間学部人間健康学科

照屋翔大助教

学校経営学

照屋翔大(てるやしょうた)

沖縄県浦添市出身。筑波大学第二学群人間学類(教育学主専攻)卒、同大大学院人間総合科学研究科単位取得退学。2010年9月に愛知東邦大学に赴任し、教職科目を中心に担当。著書に『学校を変える新しい力~教師のエンパワーメントとスクールリーダーシップ』(小学館、共著)など。名城大学大学院大学・学校づくり研究科では非常勤講師として「教育マネジメント論」を担当。

 中学校、高校の保健体育教員をめざしている経営学部、人間学部4年生たちの教育実習報告会が8月5日に行われました。運営の中心になったのは実習を終えた16人の4年生たちで、後輩学生たちも真剣な表情で先輩たちの報告に耳を傾けました。「学生たちの成長ぶりが見えた充実した報告会でした」とたたえた教職担当の照屋助教に聞きました。

――教育実習報告会は4年生たちと3年生以下の学生や教員を含め70人近い参加者があり、盛況でした。

 報告会は「教育実習研究」の授業の一環として行いました。私が運営に関わるようになって4回目ですが、1年生の時から指導してきた4年生たちの成長ぶりに感慨深いものがありました。よくここまで話ができるようになったという印象です。自分たちの教育実習が終わった後から、リハーサルを重ねて企画してくれました。L棟での会場では、プレゼンだけでなく、グループごとの質疑応答の輪に加わり、自分たちが、これは大事だと思ったことを、自分たちの貴重な体験として後輩たちに伝えている姿に頼もしさも感じました。3年生たちは4年生たちの期待に応え、できるだけ早く実習へのスタートラインに立ってもらいたいと思います。

――報告会の最後に感想を述べた榊直樹学長は「先生になりたいという強い意志がない人には先生になってもらいたくない」とも語りました。

 そのような考え方は、私が愛知東邦大学に着任した際には、決してマジョリティではなかったと思います。しかし、大学の教職課程の役割は、本当に教師になりたいという学生たちの力を伸ばすことと、学生たちを、より適性に合った夢の実現へと導くことだと思います。漠然とした思いで教職を志望した学生の中には、子どもがプロ野球選手になりたいというあこがれに近い思いとあまり変わらない学生もいるからです。子どもの数が減っていくなかで、教員への道はこれからさらに厳しくなります。そうした中での学長の発言は、着実に実績を重ねてきた本学の教職課程が、自信をもって本来の教育機能を発揮する時代を迎えたということだと思います。

――岩手県での中2男子生徒の自殺を始め、続発するいじめの悲劇に、尊い命を救えなかった教師たちの力量を問う声も上がっています。

 もちろん教師個人の力量がどうかという捉え方もあるのでしょうが、中には現在の学校が抱える組織的な課題もその背景にあったのではないかという見方もあります。個人の努力だけでは超えられない課題を、組織としてどう超えるかが大事になります。今の学生たちも教員になり、若くしてリーダーにならなければならないかも知れません。こうした点を授業では折に触れて話しています。

――教師の力を高めるため、愛知東邦大学が独自に取り組んでいることはありますか。

 大事にしているのは、4年間の在学中の指導に加えて、卒業して教職に就いた後も少なくとも3年間はフォローしようという体制です。「教職実践演習」という科目では、現在、正規に採用され教壇に立っている卒業生や、合格を目指して常勤または非常勤講師として現場で奮闘している卒業生たちをゲスト講師として招き、現場での体験、失敗をどう乗り越えたかなどについて語ってもらっています。卒業生たちにとっては自分を見つめ直す機会であり、学生たちにとっては教師になってからの自分をイメージすることができます。教職員免許法の改正に伴い2013年度からスタートした科目ですが、小規模大学だからこそできる目の行き届いた実践だと思っています。

――戦後70年。多くの犠牲者出た沖縄県での戦後教育について研究されていますね。

 私はずっとアメリカの教育行政について研究してきましたが、一方で、故郷でもある沖縄が戦後歩んだ教育の足跡を検証してみたと思っていました。3年ほど前、他大学の先生方を中心とした研究グループに加えていただき、占領期の沖縄における学校経営について調査を始めました。まだ基礎調査の段階ですが、実家に近い沖縄公文書館にこもったり、米国公文書館などでデータを集める一方、インタビュー調査の準備を進めています。本土では戦後、アメリカ型の教育委員会制度が一時導入されましたが、復帰前の沖縄では、本土とは異なる形で、教育行政、学校経営の考え方や実践が展開されたようです。そうしたことを今、一生懸命に調べており、当時のことを知っている方たちへのインタビューをぜひ実現させたいと思っています。ただ、高齢化もあって、聞き取りのために残された時間はきわめて厳しいのが実情です。

――教員を目指す学生たちへのメッセージをお願いします。

 教師という仕事は決して、誰でもなれる仕事ではありません。自分の夢ではあっても、夢を超えた使命感を持たなければ務まらない仕事です。そのことを十分に自覚して、日々、必要な準備を整えてほしいと思います。具体的にはしっかり授業を受けること。自分が今考えていることを絶対視するのではなく、幅広い視野から現実を捉え、考えるということを、一回一回の授業を通して学んでほしいと思います。