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TOHO INTERVIEW

【第15回】社会の動きや歴史にもっと鋭い目を。新聞やテレビは経済学の生きた教材

経営学部長

中山孝男教授

経済学

中山孝男(なかやまたかお)

栃木県宇都宮市出身。一橋大学経済学部卒、同大大学院経済学研究科博士課程単位修得満期退学。経済学修士。東邦学園短期大学専任講師、愛知東邦大学准教授を経て教授。2015年4月から経営学部長。著書に『資本論の研究』(共著、青木書店)、訳書にD.ハーヴェイ著『空間編成の経済理論』(共訳、大明堂)など。

 経営学部長の中山教授が本学に着任したのは1988(昭和63)年で、東邦学園短期大学の時代でした。活気あふれるキャンパスでしたが2年サイクルのため、学生との出会いと別れはあっという間だったそうです。「今は短大時代に比べ4年間のふれ合い。学生と親しくなれるのが一番うれしい」と中山教授は語ります。

――大学院時代はイギリスの古典派経済学者であるデヴィッド・リカードの機械論を研究されていたのですね。

 そうです。私はマルクス経済学の理論を研究していました。『資本論』でいうと第1巻の最後の方に、相対的過剰人口論、簡単に言うと失業問題、労働人口の問題が出てきます。それを修士論文で取り上げましたが、やっていると、どうしてもその前のリカードが気になってしまった。マルクス以前に、機械が労働者を生産現場から排除することを言っているんです。リカード自身、最初はそうではなかったが、彼の良心に従って主張を変更した。毒舌で知られるマルクスが、そのことでリカードのことをすごく褒めている。どんな人間で、どんな理論だろうと非常に興味を持ちました。

――近代経済学が主流の一橋大学でマルクス経済学の研究ですか。

 確かに周りは近経の先生ばかりでしたが、マル経を研究する先生方も結構いて、私の所属するゼミも盛況でした。大学院に博士課程のなかった和歌山大学とか横浜国立大学など地方の大学からも人が集まり、皆さん大変まじめに勉強していました。いろんな人たちと研究を通して交流ができました。おかげで修士課程に3年、博士課程に5年と計8年間も大学院に籍を置くことになりました。幸い奨学金制度の恩恵にもあずかり、生活の心配はあまりありませんでした。学生たちにもよく言っていますが、好きなことに打ち込めるのは何と言っても学生時代です。誰からも文句を言われずに好きなことができる。私自身、今でも、半年でもいいから、あの時代に戻りたいと思う時があります。

――大学院を出られて最初の就職先が東邦学園短期大学ですか。

 はい、まだ昭和の時代だった27年前、1988年4月に着任しました。当時の短大は商経科に商業実務、経営実務、秘書の3専攻があり、コンピュータを教えられる教員も必要でした。私はパソコンが好きで、ウインドウズはまだ登場していませんでしたが、BASICというプログラム言語に熱中していた時期もありました 。経済学のほかにコンピュータが教えられる便利な人間だと思われて採用されたのでしょう。当時、受験生の間で東邦短大の人気は高く、一般入試の倍率が10倍に迫る時もあるほどでした。キャンパスは活気にあふれていましたが、せっかく学生と親しくなってもわずか2年で卒業してしまい、寂しさもありました。今は4年間、学生たちとじっくり付き合えるのが何よりうれしいです。

――コンピュータだけでなくソロバンも得意だと聞きました。

 ソロバンは小学2年生から中学1年生までやりました。小6と中1の時、県代表で全国大会にも出ました。おかげで数字は得意でした。でも、昔に比べたら、残念ながら暗算をしても頭への入り方が減ってしまいました。かつて12桁は入ったのが今はせいぜい5、6桁です。暗算のように一つのことに集中することは得意ですが、音楽を聴きながら本を読んだりは出来ません。音楽が流れるとどんな曲でも聞いてしまうからです。BGMを聞きながら勉強をされる方は多いようですが私は絶対だめです。コンピュータ用語で言うならシングルタスク。マルチタスクじゃないですね。

――「経済学」を分りやすく教えるためにいろいろ工夫しているのですか。

 授業は全学共通科目の「経済学」なので、新聞記事やテレビドラマでも取り上げられる身近な「経済学」がわかる、基礎知識の理解に重点を置いています。最近もNHKスペシャル「日本の肖像~豊かさを求めて」の第2回「バブルと失われた20年」の番組ビデオを短縮して見せました。ただ、期待したほど学生が食いついてこない時もあります。NHK朝ドラでは今、「朝がきた」が人気です。よくソロバンが出てきますよね。私はちょうど大学に出勤する時間で、見たり見なかったりですが、もし、見ている学生がいたら、ドラマを通して、どういう仕組みで両替商に儲けが出るのかとか、経済の仕組みを考えるきっかけにしてほしいと思っています。ちなみに両替商は今でいう銀行。仕組みとすれば室町時代あたりからあったと思います。

――学生たちにエールをお願いします。

 愛知東邦大学の学生たちは明るく元気です。私は「室内ゲーム研究会」というサークルの顧問をしていますが、学生たちは年間行事もしっかり決め、「授業はさぼらない」「賭け事はしない」などのルールも定めています。こうした真面目さは本学の学生全体に共通して言えることでうれしく思っています。注文をつけるなら、社会の動きや歴史にもっと関心を持って欲しいことです。LINEやスマホ、ゲームにばかり時間を取られ、知らないうちに変な世の中になってしまっていることにもなりかねません。同世代の中には、最近の日本の動きに危機感を感じ、立ち上がっている学生たちもいます。