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TOHO INTERVIEW

【第17回】観光を通して世界を知ってほしい。めざせ”知的旅行者”!

経営学部地域ビジネス学科

宮本佳範准教授

観光学

宮本佳範(みやもとよしのり)

豊田市出身。静岡大学人文学部社会学科卒、同大大学院修士課程修了。出版社勤務を経て名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。博士(人間文化)。愛知東邦大学経営学部助教を経て2013年4月から現職。

 「観光学」が専門の宮本佳範准教授は、「観光を通して世界を知ってほしい」と語ります。学生時代の卒業旅行として1か月近いタイとインドでの旅を体験したことをきっかけに、自分で考え、人々と触れ合う一人旅に魅せられたそうです。学生たちには観光を通して世界を知り、考えながら旅をする「知的旅行者」になることを勧める宮本准教授に聞きました。

――「観光学」との出会いは大学院時代からですか。

 修士課程のころは自然保護に関心があり、環境社会学と言われる分野を研究していました。博士課程でも当初は自然保護、自然保護教育などに関心をもっていました。当時の指導教授からはそもそも自然とは何か、保護するとはどういうことなのかなどを根源的に問うことを求められる指導を受けました。その指導のおかげで、2007年に、博士論文の一部になっている「自然に対する『責任の感情』の形成を担うものとしての自然保護教育」というテーマで書いた論文で石川県白山市から第23回「暁烏敏(あけがらすはや)賞」という賞をいただきました その後、自然保護と観光利用の両立を目指すエコツーリズムへ、そして自然だけではなく観光対象となる文化、人々の生活などとの両立など、観光全般の問題を研究するようになりました。

――学生時代はよく海外旅行はされたのですか。

 デビューは遅かったです。学部の卒業旅行が最初でタイとインドを1か月近く歩き回ったのが最初です。社会人になったらもう長い休みを取っての旅行なんてできないだろから、どこかに行っておこうかという気持でした。発展途上国とはどんなところだろうと興味を持ち、旅先をタイとインドに決めましたが、友人と一緒にスタートし、途中でバラバラになり一人旅になるという自由な旅でした。タイのチェンマイでは少数民族の村を訪れるトレッキングにも参加しました。その時の経験が、少数民族の文化とか、少数民族を対象にした観光のあり方に関心を持つきっかけになりました。

――タイ旅行のガイドブックでは「首長族の村を訪ねるツアー」が紹介されています。首長族の人たちも生活の糧として観光対象となることを受け入れているのでは。

 少数民族の人たちが、食べていくために自主的に受け入れているのなら全然構わないと思います。ただ、どこまでが自主的なのか、どこまでが逆らえない力によるものなのかは考えるべきだと思います。もともとミャンマーから来た難民である首長族を、タイ側が利用している側面があるからです。ちなみに、チェンマイの北東、タイ、ラオス、ミャンマーが国境を接する山岳地帯はゴールデントライアングルと呼ばれ、麻薬の原料となるケシの産地でしたが、今は観光エリアに生まれ変わり、かつての暗い雰囲気はほとんどありません。少数民族の村を訪れるトレッキングもケシ栽培に代わる収入源の一つになっています。

――初めて訪れたインドを一人で旅をして怖くはありませんでしたか。

 インドの治安が良くないことも何も知らないでの旅でしたから恐怖心はなかったのですが、今思えば怖い体験もありました。タージマハルの川を一人で眺めていたら、子供たちがたくさん遊んでいました。一緒に遊んでいたら、警察官が来て、「日本のお金を見せてくれ」と言い出したんです。怪しいなと思いながら50円玉を見せました。こちらもちょっとふっかけて、貨幣価値の高いお金だというようなことを言ったら返してくれないんです。やがて別な警官が現れて、またお金を要求されました。ほかにも、サールナートでは私とアメリカ人女性の二人でバスのなかに少し監禁されたこともあります。いずれの場合も最後は走って逃げました(笑)。

――学生たちにそうした体験を語りますか。

 1年生向けの「観光・サービス入門」では、学生たちに私のこれまでの旅の一部を紹介する機会を設けています。「現代観光論」の授業では、少数民族のエキゾチックな生活文化などを対象にしたエスニックツーリズムやエコツーリズムについて取り上げています。ただ、学生たちの食いつきは今ひとつです。やはり、学生たちには発展途上地域よりアメリカの最先端の文化やヨーロッパの美しい街並みなどにあこがれがあるのでしょうね。

――学生たちにどんな旅をしてほしいですか。

 学生たちには、とにかく一人旅に出てほしいと思っています。一人旅では、現地の人や世界中の旅行者との出会い、ツアーでは経験できない数多くの経験が待っています。発展途上国を訪れると考えさせられる場面にも多数遭遇します。そういった経験は必ず成長につながるはずです。卒業後は旅行会社への就職にあこがれる学生はたくさんいます。もちろん、旅行会社で働くためにも旅の体験はあった方がいいでしょう。ただ、旅行会社に就職する学生は一部であり多くの学生たちにとっては将来、一般の旅行者として海外に出かける機会の方が圧倒的に多いはずです。私は旅行会社で働きたい学生はもちろんですが、そうではない学生にこそ、観光を通して世界を知り、いろんなこと考える「知的旅行者」になってほしいと考えています。